初恋レクイエム

Happy christmas dear MM

この時期になると、暖冬であろうが、小雨からみぞれまじりの雪になろうが、毎年毎年私の脳裏をリフレインして、必ず流れる唄がある。

close to you by Carpenters

である。

ドキドキしたのかは、定かじゃない。

気がついたら、Mくんはいつもそばにいた。

家族ぐるみであちこち遊びに行った。

旅館の大きな畳の部屋で、家族中雑魚寝の時もあった。

クリスマス近くなったある日、私達はいつものように彼のお家に遊びに行った。

おじちゃんとおばちゃんは既にお酒がまわっていて、うちの両親もすぐ参戦し、私とMくんはトランプをしてなんとなく過ごしていた。

「あんな、オレ、ステレオ買ってもらってん!レコード聞かせてあげよか!」

彼の部屋に入ると、ババーんと立派なステレオが置いてあった。

「カーペンターズって知ってる?」

茶色いカバージャケットのLPを持って私に見せた。実は私も同じアルバムを持っていたので、

「知ってる知ってる!!聞こ聞こ!」

と言って、大きなスピーカーからどんな感じで聞こえるんだろうと、ワクワクしていた。

ジッ….ジッ….

針が落とされると、優しいカレンの歌声がまるで、目の前でうたってくれているのか!と思える美しいメロディで重低音と共に現れた。

「Mちゃん!!すごくいい音!!」

「へっへーー」

自慢げなMくんと、なんちゃって英語で歌いながら、私たちは緑のソーダ水を飲んで楽しかった。

「オレ、この曲がいちばん好き」

と言って、ちょっとボリュームあげた曲が

close to you

だった。

次に会ったのは、高校卒業したあとだった。

家に行ったらMくんは、katanaに乗って出かけるところだった。フルフェイスから目だけ覗かせて、手を振ってどこやら走って行った。

とか、Mくんに子どもが生まれて、私の息子の名前が気に入ったとかで、同じ名前を付けたというよくわからない構想のパパになったMくんとか。

挙げればキリがない。

やんちゃなMくんはとにかくいつもそばにいた。

今年秋、愛車が出先の駐車場で、えっいつの間に当てられたの事案が発生し、損保代理店をしているMくんに電話した。

いつもワンコールで出てくれるのに、3コールで奥さんが出てくれた。

ちょっと代わりに聞きますとのことで、状況を説明した。状況をゆっくりとふんふんって、全部聞いてくれた奥さんは、電話を切る前に、静かな声で私に告げた。

…いちばん最後に会ったのは、ランチ行くのに待ち合わせた駅で、お互い上下ピンク系の服だったことに大笑いしたあの日。

いちばん最後のLINEは

「あんな、オレ見送ってるのに振り向けよ?!」

ランチの後、振り返らず改札通って一目散に歩き進んだ私へのクレーム。

なんだよ、Mちゃん

歳とっても、ずっと笑って親父達みたいになろうっていうてたよ?

close to youの音量上げたときの横顔にドキドキしたんだ、あのとき私は。

間違いなく私の初恋だったんだよ。Mちゃんは。悔しいなぁ!

今年もclose to youは、私の記憶の中でやっぱり鳴り出すんだよ。なんちゃって英語のあなたの声もレコードされて、永遠に奏でる。

奏で続けて欲しいよ。

だって、ずるいよMちゃん

黙って先にいかないでよ…

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次